「イヤホンを挿したのに、音がiPhoneのスピーカーから出てしまう」
「昨日まで使えていたイヤホンが、急に認識されなくなった」
「イヤホンが壊れたのか、iPhoneが壊れたのか分からない」
有線のイヤホンを、iPhoneが認識しない、という相談である。
結論から書く。イヤホンを認識しないときは、故障と決める前に、接続部分、ケース、イヤホン本体、アダプタの順に切り分ける。 Appleの案内も、ポートにゴミなどが付いていないか、ケーブルやコネクタに損傷がないか、ケースを付けていれば外してしっかり接続し直す、別のヘッドフォンを試す、という確認を挙げている(Apple「iPhone や iPad でヘッドフォンが機能しない場合」)。
ただし、このAppleのページには、認識しない原因の一覧も、故障だと判断する基準も書かれていない。この記事では、Appleが書いている確認を先に並べ、そのあとに筆者の切り分けを足す。
扱うのは有線のイヤホン(Lightning、USB-C、変換アダプタ)で、Bluetoothのイヤホンは別の記事に分けた。この記事で扱うのは、次の3つである。
- どの接続方式かを分けて、確認の順番を決める
- イヤホン側かiPhone側かの切り分け方
- 掃除でやってはいけないことと、直らないときの相談
修理店を経営していた筆者の立場から言えば、このタイプの相談で避けたいのは、イヤホンを替えて試す前にiPhoneの修理に出してしまうことである。別のイヤホンで確かめるだけで、疑う場所は半分に絞れる。
まず、どの接続方式かを分ける
有線のイヤホンは、iPhoneの端子の種類によって、直接つなげるものと、アダプタが要るものに分かれる。接続方式を先に決めると、確認する場所も決まる。
| つなぎ方 | Appleが書いていること |
|---|---|
| Lightning端子のiPhoneに、3.5 mmのイヤホンをつなぐ | Lightning – 3.5 mm ヘッドフォンジャックアダプタを使う |
| USB-C端子のiPhoneに、3.5 mmのイヤホンをつなぐ | Apple USB-C – 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタなどを使う |
| Bluetoothのイヤホン | この記事では扱わない |
Appleのページによると、Lightning – 3.5 mm ヘッドフォンジャックアダプタを使えば、従来の3.5 mmジャック接続のヘッドフォンやオーディオデバイスを、Lightningコネクタを備えたiPhoneにつなげる(Apple「Apple 製の有線ヘッドフォンを使う」)。USB-Cコネクタにスピーカーやヘッドフォンをつないで音を出す場合は、Apple USB-C – 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタかApple USB-C – Lightningアダプタを使う、とも書かれている(Apple「iPhoneのUSB-Cコネクタで充電および接続する」)。
Bluetoothのイヤホンがつながらない場合は、iPhoneがBluetoothにつながらない原因|つなぎ直す手順を先に確かめるとよい。
Appleが書いている、ヘッドフォンが機能しないときの確認
Appleの案内は、iOSのアップデートと再起動を先に済ませ、それでも機能しない場合に、症状に応じた手順へ進む順番である。アップデートの方法はApple「iPhoneやiPadをアップデートする」、再起動の方法はApple「iPhoneを再起動する」にある。
それでも機能しない場合の確認として、Appleのページの案内から、ここでは次の4つを使う。
- iPhoneのヘッドフォンポートにゴミなどが付着していないか確認する
- ヘッドフォンのケーブル、コネクタ、リモコン、イヤーバッドに、磨耗や切断などの損傷がないか確認する
- iPhoneにケースを付けているなら、ケースを外してから、しっかり接続する
- 交換が必要かどうかを確かめるために、別のヘッドフォンを試す
3つ目のケースは、見落としやすい。ケースの穴の形によっては、プラグが奥まで入らないことがある。これはAppleの案内ではなく、筆者の見方だが、ケースを外す手間は小さいので、最初に試す価値がある。
4つ目の別のヘッドフォンは、Appleのページでは別の節(音が聞こえない場合や、ヘッドフォンの片側しか機能しない場合)にある案内である。イヤホン側とiPhone側を分ける手がかりになるので、次の章で使い方を書く。
イヤホン側かiPhone側かを切り分ける
切り分けは、組み合わせを1つずつ変えて試す。Appleは、別のヘッドフォンなら機能する場合は、最初のヘッドフォンのメーカーに問い合わせて交換が必要かどうかを確かめ、別のヘッドフォンも機能しない場合は、Appleサポートに問い合わせるよう案内している。次の表の上の2行はこの案内にもとづき、3行目は筆者の整理である。
| 試したこと | 結果 | 疑う場所 |
|---|---|---|
| 別のイヤホンをつなぐ | 別のイヤホンは使える | 元のイヤホン、またはそのアダプタ |
| 別のイヤホンをつなぐ | 別のイヤホンも認識しない | iPhoneの端子、ケース、ソフトの状態 |
| 元のイヤホンを別の機器につなぐ | 別の機器でも鳴らない | 元のイヤホン、またはそのアダプタ |
変換アダプタを使っている場合は、アダプタも1つの部品として数える。イヤホンが無事でも、アダプタが原因のことがある。アダプタの不良を見分ける手順は、Appleのページから確かめられなかったので、アダプタごと別のものに替えて試すのが、手元でできる切り分けである。
掃除でやってはいけないこと
ポートのゴミを確認するときは、無理に取らないことが大切である。Appleが書いている、掃除についての注意を挙げる。
- LightningまたはUSB-Cのコネクタは、液体や清掃用品を使って清掃しない(Apple「iPhoneの取り扱いに関する重要な情報」)
- EarPodsのお手入れに、鋭利な道具や研磨剤は使わない(前出の「Apple 製の有線ヘッドフォンを使う」)
- iPhoneのお手入れ方法のページには、エアダスターは使用しないでください、とある(Apple「iPhoneのお手入れ方法」)
イヤホン側の開口部の異物は、毛先が柔らかく、清潔で乾いた小さなブラシですべての開口部をていねいに払う、とAppleは書いている(前出の「iPhone や iPad でヘッドフォンが機能しない場合」)。
なお、iPhone側のポートの中に具体的に何を使って掃除するのかは、Appleのヘッドフォンの案内に書かれていない。端子の掃除の考え方は、iPhone充電口の掃除方法|安全な道具の選び方とNG行為を解説に書いた。充電口の記事だが、ポートの異物を丁寧に取る、という点は共通である。
「このアクセサリは使用できない可能性があります」と出るとき
イヤホンをつなぐと警告が出ることがある。Appleには、「このアクセサリは使用できない可能性があります」という警告が出る場合のページがある。そこでは、必要に応じて、丁寧にデバイスのコネクタから異物を取り除き、お手入れするよう案内されている(Apple「Apple製のデバイスで「このアクセサリは使用できない可能性があります」という警告が表示される場合」)。
同じページに、アクセサリが接続されていないのにこの警告が表示される場合は、修理サービスが必要な場合がある、という記載がある。イヤホンを外しても警告が出続けるなら、イヤホン側の問題ではない可能性が高い、と筆者は読む。ただし、これは筆者の読み方である。
それでも認識しないときは、相談に進む
ここまでの確認で直らなければ、相談の段階である。Appleは、ヘッドフォンが依然として機能しない場合は、Appleサポートに問い合わせるよう案内している。
修理が必要かどうか、修理代がいくらかは、診断を受けて初めて決まる。Appleは、最終的な修理サービス料金は、デバイスの診断・検査を行った上で確定される、と書いている(Apple「AppleによるiPhoneのサービスと修理」)。相談のときは、別のイヤホンでも試したか、ケースは外したか、アダプタを使っているか、を伝えられるようにしておく。
修理に出す場合の準備や、データがどうなるかは、iPhoneの修理でデータは消える?出す前にやることにまとめている。
よくある質問
イヤホンを挿しても、iPhoneのスピーカーから音が出るのはなぜか
イヤホンを挿しても内蔵スピーカーから音が出る、という症状そのものを説明したAppleのページは、確かめた範囲では見つからなかった。まず、この記事の確認の順番で、ポート、ケース、別のイヤホンの順に試す。奥までしっかり差し込めているかも、あわせて見る。
変換アダプタは要るのか
iPhoneの端子による。Lightning端子のiPhoneで3.5 mmのイヤホンを使うなら、Lightning – 3.5 mm ヘッドフォンジャックアダプタが要り、USB-C端子のiPhoneなら、Apple USB-C – 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタなどを使う。イヤホン自体がLightningやUSB-Cの接続のものなら、アダプタは要らない。
ポートの掃除に、エアダスターを使ってよいか
Appleのお手入れのページには、エアダスターは使用しないでください、と書かれている。ただし、このページはiPhoneのお手入れ全般の案内で、イヤホンのポートに限った記述ではない。コネクタについては、液体や清掃用品を使って清掃しないよう、取り扱いのページに書かれている。
Bluetoothのイヤホンが認識されないときも、同じ手順でよいか
同じ手順ではない。この記事の確認は、ポートやケーブルを持つ有線のイヤホン向けである。Bluetoothの場合は、つなぎ直しの手順を別の記事にまとめた。
まとめ
iPhoneがイヤホンを認識しないときは、まずiOSの更新と再起動を済ませ、ポートのゴミ、ケーブルやコネクタの損傷、ケース、別のイヤホンの順に確かめる。
別のイヤホンでも認識しないならiPhone側、別のイヤホンなら使えるなら元のイヤホンやアダプタ側を疑う。 掃除では、液体や清掃用品、鋭利な道具、エアダスターを使わない。それでも直らないときは、Appleサポートに相談し、診断を受けたうえで、修理が必要かどうかと費用を確かめる。


