「メッセージを打とうと入力欄をタップしても、キーボードが出てこない」
「画面の下に、キーボードが出る場所だけ空いている」
「キーボードが片側に寄っていて、使いにくい」
iPhoneのキーボードが出ない、あるいは様子がおかしい、という相談である。
結論から書く。iPhoneのキーボードが出ないときは、故障を疑う前に、キーボードをつないでいないか、アクセシビリティの設定が入っていないか、キーボードの見え方が変わっただけではないかを順に確かめる。 Appleは、テキストを入力できるアプリで、テキストフィールドをタップするとオンスクリーンキーボードが開く、と案内している(Apple「iPhoneでオンスクリーンキーボードを使って入力する」)。
Appleの公式ページを探した範囲では、iPhoneでキーボードが出ない原因を並べた1つのページは見つからなかった。この記事は、キーボードに関わるAppleの各ページを、確かめる順に並べ直したものである。この記事では、次の3つを解説する。
- 「出ない」のか「形が変わった」だけかの見分け方
- 物理キーボード、Bluetooth機器、アクセシビリティ設定の確かめ方
- 再起動、アップデート、サポートへの相談
修理店を経営していた筆者の立場から言えば、キーボードが出ない相談は、故障よりも設定や接続機器の側にあることが多い印象がある。ただし、これは筆者の印象であり、割合を示すデータはない。
まず、「出ない」のか「形が変わった」だけかを分ける
キーボードが出ないように見えて、実は形や表示が変わっているだけの場合がある。Appleの案内で、見え方ごとに疑う操作を整理する。
| 見え方 | 疑うもの |
|---|---|
| キーボードが左右どちらかに寄っている | 片手で入力しやすいように、キーを親指の近くに移動する設定 |
| キーボードの文字が消えて、灰色になった | スペースバーの長押しで、キーボードがトラックパッドになった |
| 小文字が表示されず、大文字だけになっている | キーボードに小文字を表示しないオプション |
| 絵文字のキーボードだけがない | 絵文字キーボードの追加 |
| 何も出てこない | 次の節から順に確認 |
キーボードが寄っているなら、キーボードの右端または左端をタップすると中央に戻る、とAppleは書いている。灰色になった場合は、スペースバーを1本指でタッチして押さえたままにするとトラックパッドになる(Apple「iPhoneでテキストを選択する/編集する/移動する」)。灰色のまま戻らないときは、指を離して、もう一度入力欄をタップしてみる。
大文字だけの表示は、アクセシビリティの設定で小文字を表示しないようにできる、とAppleは案内している(Apple「iPhoneのアクセシビリティのオンスクリーンキーボードと外部キーボードの設定を調整する」)。
物理キーボード、Bluetooth機器、ポインタをつないでいないか
キーボードやマウスなどの機器をつないでいると、画面のキーボードの出方が変わる場合がある。Appleの案内には、次のものが書かれている。
Magic Keyboardをつないでいるとき
Magic Keyboardを使うと、iPhoneにテキストを入力できる。ユーザガイドによると、Magic Keyboardの接続は、スイッチをオフにするか、キーボードまたはiPhoneをBluetooth通信圏外(約33フィート(10メートル))に移動すると解除される。オンスクリーンキーボードを表示するには、Magic Keyboardの取り出しキーを押す(Apple「Magic KeyboardおよびiPhoneを使用してキーボードを切り替える」)。
確かめた範囲では、物理キーボードをつなぐと画面のキーボードが自動的に隠れる、という記述はAppleのページに見つからなかった。ただし、機器をつないでいる間は、取り出しキーで画面のキーボードを出し入れできる。まず、機器を外す、または取り出しキーを押す、のどちらかで変化があるかを試す。
Bluetoothのキーボードがつながらないとき
Bluetoothのキーボードがつながらない場合、Appleは、ワイヤレスキーボードなどのBluetoothアクセサリを接続できない場合の対処法を案内している(Apple「iPhoneやiPadにBluetoothアクセサリを接続できない場合」)。最初の確認は次の2つである。
- Bluetoothアクセサリの電源を切ってから、入れ直す
- Bluetoothアクセサリの電源が入っていて、完全に充電された状態か、または電源に接続された状態であることを確認する
依然として問題が認められる場合は、Appleサポートに問い合わせるよう案内されている。つなぎ直しの手順は、iPhoneがBluetoothにつながらない原因で扱っている。
マウスなどのポインタを使っているとき
マウスキーを使うか、キーボードの接続時にポインタを使ってオンスクリーンキーボードで入力したい場合は、「設定」>「アクセシビリティ」>「タッチ」>「AssistiveTouch」の順に選択して、「オンスクリーンキーボード表示」を有効にしておく必要がある(Apple「iPhone、iPad、iPod touchでAssistiveTouchを使ってポインティングデバイスを使用する方法」)。
「滞留コントロール」が有効な間は、オンスクリーンキーボードが常に表示される、ともある。
iPadの案内には、外部キーボードの使用中に「キーボードを表示」をタップする操作が載っているが、iPhoneの案内には同じ操作は見つからなかった。iPad向けの手順は、そのまま当てはめない。
アクセシビリティの設定が入っていないか
自分でオンにした覚えのないアクセシビリティ設定が、画面の操作に影響することがある。Appleのページは、次の設定を書いている。ただし、これらがキーボードが出ない原因になる、とは書かれていない。キーボードの出し方や反応に関わる設定として、確かめる。
| 設定 | Appleの案内 |
|---|---|
| VoiceOver | テキストフィールドを選択してから、ダブルタップすると、挿入ポイントとオンスクリーンキーボードが表示される |
| アクセスガイド | iPhoneを一時的に1つのアプリに制限する。セッションの設定に「ソフトウェアキーボード」のオン/オフがある |
| タッチ調整 | 「保持継続時間」をオンにした場合、継続時間内にタップやスワイプをしても無視される |
VoiceOverがオンのときは、通常のタップではなくダブルタップが必要になる(Apple「iPhoneのVoiceOverでオンスクリーンキーボードを使用する」)。入力欄を1回タップしても、キーボードが出ない場合は、VoiceOverのオンを疑う。
アクセスガイドは、公式の名称が「アクセスガイド」である。「セッションの設定」に、「ソフトウェアキーボード」をオンまたはオフにする項目がある。パスコードを使って終了する場合は、サイドボタン(Face IDを搭載したiPhoneの場合)またはホームボタン(その他のiPhoneのモデルの場合)をトリプルクリックしてから、アクセスガイドのパスコードを入力する(Apple「アクセスガイドでiPhoneを1つのアプリにロックする」)。
タッチ調整は、いつでも再調整したりリセットしたりできる(Apple「iPhoneのタッチへの反応を調整する」)。タップがうまく反応しない場合は、iPhoneの画面が反応しない原因も確かめるとよい。
絵文字キーボードだけが出ないとき
絵文字のキーボードだけが出ない場合は、Appleに専用の手順がある。Appleは、絵文字キーボードが表示されない場合の手順を案内している(Apple「iPhone、iPad、iPod touch で絵文字を使う」)。
iPhoneのユーザガイドによると、キーボードの追加は、「新しいキーボードを追加」をタップして、リストからキーボードを選択する。この案内は、iPhoneにキーボードを追加して、別の言語での入力や音声入力に使うためのものである(Apple「iPhoneのキーボードを追加する/変更する」)。他社製キーボードの追加や削除の手順は、確かめた範囲では、Appleのこのページに見つからなかった。
アプリを開き直し、再起動、強制再起動の順に試す
ここまでで原因が見つからない場合は、再起動を試す。Appleは、順番を次のように案内している。
- アプリが反応しない場合は、終了してから再度開く(Apple「iPhoneでアプリを終了して再度開く」)
- それでも応答しない場合は、iPhoneを再起動する
- iPhoneをオフにして電源を入れても問題が解決されない場合は、強制的に再起動する(Apple「iPhoneのオン/オフを切り替える」)
通常の再起動では、電源をオフにして、デバイスの電源が切れるまで30秒ほど待つ。デバイスがフリーズする場合や反応しない場合は、強制的に再起動する(Apple「iPhoneを再起動する」)。
強制再起動は、iPhoneが反応せず、電源のオフとオンができない場合に使う。ユーザガイドの手順は次のとおりである(Apple「iPhoneを強制的に再起動する」)。
- 音量を上げるボタンを押してから素早く放す
- 音量を下げるボタンを押してから素早く放す
- サイドボタンを押さえたままにする
- Appleロゴが表示されたら、サイドボタンを放す
手順は、Face ID搭載のiPhoneとホームボタン搭載のiPhoneで分かれる。機種別の操作は、iPhoneの画面が真っ暗で音は鳴る原因にまとめている。
iOSのアップデートは、直るとは限らない
iOSのアップデートで、キーボードの不具合が直るかどうかは、Appleのページには書かれていない。確かめた範囲では、アップデートがバグ修正を含む、という一般的な説明があるだけである(Apple「iPhoneやiPadをアップデートする」)。
アップデートを試すなら、ユーザガイドの案内では、最新バージョンのiOSにアップデートしても、データと設定は変更されない。「設定」>「一般」>「ソフトウェアアップデート」とタップして、アップデートが利用可能な場合に、「ダウンロードしてインストール」をタップする。
「すべての設定をリセット」は、キーボードの手順としては案内されていない。この操作では、ネットワーク設定、キーボードの変換学習、位置情報の設定、プライバシーの設定、Apple Payカードなどのすべての設定が、削除されるか、またはデフォルトにリセットされる。データまたはメディアは削除されない(Apple「iPhoneの設定をデフォルトにリセットする」)。範囲が広いので、最後の手段にとどめる。
それでも出ないときは、サポートに相談する
再起動や強制再起動でも動作が改善しない場合は、ユーザガイドが、iPhoneサポートのウェブサイトを参照するよう案内している。Appleの修理のページは、iPhoneの症状を伝えると、考えられる解決策をいくつか紹介し、必要に応じて修理や交換の手配にも対応する、と案内している(Apple「AppleによるiPhoneのサービスと修理」)。
iPhone上では、トラブルシューティングについて、ガイド付きのパーソナライズされたサポートも受けられる(Apple「Appleサポートからの専門的なアドバイス」)。
よくある質問
キーボードが急に出なくなったのは、故障か
故障と決める必要はない。物理キーボードやBluetooth機器、アクセシビリティ設定、見え方の変更のどれかに当てはまることがある。これらを確かめ、再起動や強制再起動でも出ないなら、サポートに相談する。
キーボードが小さく、片側に寄ってしまった
片手で入力しやすいように、キーを親指の近くに移動する設定がある。キーボードの右端または左端をタップすると、中央に戻る。
VoiceOverがオンかどうかは、どう見分けるか
VoiceOverがオンかどうかは、「設定」の「アクセシビリティ」から確かめる。Appleの案内では、VoiceOverがオンのときは、テキストフィールドを選択してからダブルタップすると、オンスクリーンキーボードが表示される。
アクセスガイドは、どう終了するか
パスコードを使う場合は、サイドボタン(Face IDを搭載したiPhoneの場合)またはホームボタン(その他のiPhoneのモデルの場合)をトリプルクリックしてから、アクセスガイドのパスコードを入力する。
再起動してもキーボードが出ない
強制再起動を試す。それでも変わらなければ、iPhoneサポートのウェブサイトを参照する。Appleのページに、設定のリセットがキーボードを直す、とは書かれていないため、リセットは最後の手段にとどめる。
まとめ
iPhoneのキーボードが出ないときは、まず「出ない」のか「形が変わった」だけなのかを分ける。そのうえで、物理キーボードやBluetooth機器、ポインタをつないでいないか、VoiceOverやアクセスガイドなどの設定が入っていないかを確かめる。
設定や機器が原因でないなら、アプリの開き直し、再起動、強制再起動の順に試す。 それでも出ないときは、iPhoneサポートのウェブサイトやガイド付きサポートに相談する。



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