「充電しているのに、80%で止まって100%にならない」
「100%まで行くはずが、90%のまま増えない」
「バッテリーが壊れたのか、そういう仕様なのか分からない」
iPhoneの充電が100%にならない、という相談である。
結論から書く。iPhoneの充電が80%で止まるときは、故障を疑う前に、Appleが挙げている3つの仕様(バッテリー充電の最適化・熱による一時停止・充電上限)を確かめる。 Appleは、デバイスの充電が80パーセントで止まる場合の原因として、この3つを案内している(Apple「iPhoneやiPod touchが充電されない場合」)。
見分ける手がかりは、画面に出る表示にある。ロック画面の通知や「充電保留中」の表示を見れば、仕様で止まっているのか、充電そのものができていないのかを分けやすい。この記事で扱うのは、次の3つである。
- 「100%にならない」の中身を分ける方法
- 80%で止まる3つの仕様と、それぞれの目印
- 仕様では説明できないときの確認と修理の相談
修理店を経営していた筆者の立場から言えば、充電が80%で止まる相談は、設定を見ただけで解決する場合がある一方で、故障の入口として来店される場合もある。見分けるには、まず仕様を知っておくことが近道である。
まず、何が100%にならないのかを分ける
「100%にならない」には、似た症状が4つ混ざっている。何が100%にならないのかで、確かめる場所が変わる。
| 見え方 | 疑うもの |
|---|---|
| 充電中に80%で止まる | 充電の最適化、熱、充電上限 |
| 80%を過ぎてから増え方が遅い | 80%以降の充電速度の低下 |
| 「最大容量」が100%ではない | 充電とは別の、バッテリーの状態の表示 |
| MagSafeバッテリーで90%と出る | MagSafeバッテリーの充電の制限 |
この記事は、80%で止まる場合を中心に書く。ほかの3つは、後半で順に扱う。
80%で止まる3つの仕様
Appleの案内では、80%で止まる原因は3つある。まず、どれに当たるかを画面の表示で見分ける。
1. バッテリー充電の最適化が働いている
1つ目は「バッテリー充電の最適化」である。iOS 13以降にある機能で、iPhoneがフル充電されたままの時間を極力短くして、バッテリーの劣化を遅らせる。Appleによると、iPhoneは毎日の充電の傾向を把握して、80パーセントまで充電したら、iPhoneを使い始める直前までその後の充電を保留する。
この機能が働いているときは、iPhoneがいつ頃フル充電されるかを知らせる通知がロック画面に表示される(Apple「iPhoneの充電上限とバッテリー充電の最適化について」)。通知が出ているなら、故障ではなく、この機能で止まっている。
すぐに100%まで充電したいときは、この通知を長押しして、「今すぐ充電」をタップする。
この機能は、いつでも働くわけではない。Appleは次の条件を挙げている。
- iPhoneがある程度長い時間、充電器に接続されると予測されるときにしか働かない
- 14日以上かけて充電の習慣を学習してからでないと働かない
- 特定の場所で9回以上、毎回5時間以上充電してからでないと機能しない
- 自宅や職場など、長い時間を過ごす場所でしか働かない
充電の習慣にばらつきがある場合や、旅行中、充電時間が短い場合には働かない。この機能を使うには、一部の位置情報の設定を有効にしておく必要もある(Apple「「バッテリー充電の最適化」が有効になっていない場合」)。
働かない状況では、iPhoneは一時停止することなく100%まで充電される、とユーザガイドにある。昼間の短い充電で止まらず、夜の長い充電で止まるなら、この機能の動きと合っている。
2. 熱で充電が保留されている
2つ目は熱である。Appleは、バッテリーの寿命を延ばすために、バッテリーが熱くなりすぎると、ソフトウェアが80パーセント以上の充電を制限することがあるとしている。充電中のiPhoneが熱いなら、iPhoneと充電器を涼しい場所に移す。
ロック画面に「充電保留中」というメッセージが出る場合がある。ユーザガイドによると、この温度に基づく保護機能は自動的に作動し、オフにすることはできない。iOS 16以降のiPhoneで利用できる機能で、充電する環境の温度の目安は0°~35°Cである。充電中に熱くなる場合は、ケースを取り外すとよい。
デバイス内部の温度が通常の動作温度範囲を超えると、充電(ワイヤレス充電も含む)が遅くなる、または停止する場合がある、とAppleの別のページにもある。熱くなる原因や、放置してよい目安は、iPhoneが熱くなる原因と対処にまとめている。
3. 充電の上限を設定している
3つ目は充電上限である。iPhone 15以降のモデルでは、充電上限を設定できる。設定した上限を超えないように、iPhoneの充電は停止する。80%から100%まで、5%刻みで上限を選べる。
iPhoneは、選択した上限との差が数パーセント以内になるまで充電して、その後に停止する。上限と同じ数字ぴったりで止まるとは限らない。80%以上まで充電したい場合は、充電の上限を変更する。
上限を100%未満にしていても、ときどき100%まで充電される。Appleは、バッテリーの充電状態の推測精度を維持するためと説明している。一時的に上限を変えて、予定より早くフル充電したいときは、「設定」>「バッテリー」>「100%まで充電」とタップする。
最適化は、オフにしても解決の第一手にしない
100%にならないとき、「バッテリー充電の最適化」をオフにすれば解決する、と思うかもしれない。Appleは、iPhone 14以前の手順の中で、充電の最適化をオフにした場合、バッテリーが消耗しやすくなり、耐用年数が縮む可能性があると書いている。
100%まで充電したいのは、たいてい「今日だけ」の事情である。そのときは、前の項の「今すぐ充電」や「100%まで充電」を使うほうが、設定を変えるより影響が小さい。
80%を過ぎると、充電が遅くなる
80%で止まっていなくても、80%を過ぎてから増え方が遅くなる場合がある。ユーザガイドによると、iPhoneは、バッテリー残量が約80%に達するまで高速で充電される。その後は、バッテリーの負荷を軽減し、発熱を抑えるため、充電速度が低下する。
設定の「バッテリー」を開くと、iPhoneの充電中には、80%および100%になる見込みの時刻が表示される。表示を見れば、100%までの目安を確かめられる。
充電そのものが遅いと感じる場合は、iPhoneの充電が遅い原因と対処法も確かめるとよい。
「最大容量」が100%でないのは、別の話
「設定」>「バッテリー」にある「最大容量」が100%でない場合は、充電とは別の話である。Appleによると、iPhoneが製造された時点からアクティベーションされた時点までの時間の長さによっては、表示されるバッテリー容量が100%を若干下回ることがある(Apple「iPhoneのバッテリーとパフォーマンス」)。
最大容量は、充電の残量ではなく、バッテリーそのものの状態を示す数字である。最大容量が下がってきたときの見方は、iPhoneバッテリーの寿命は何年かで扱っている。
MagSafeバッテリーで90%と出るとき
MagSafeバッテリーを使って充電しているときは、90%という表示が出る場合がある。iPhone Air MagSafeバッテリーを使う方法を説明したAppleのページには、MagSafeバッテリーを使ってiPhoneを充電している場合に、iPhoneは90%まで充電できるという通知が表示されることがある、とある(Apple「iPhone Air MagSafeバッテリーを使う方法」)。
iPhoneのユーザガイドには、デフォルトでは、MagSafeバッテリーパックの駆動時間を最適化するために、充電は90%に制限される、という注記がある。MagSafeバッテリーを使っていて90%で止まるなら、まず、この制限の可能性を疑う。
仕様で説明できないとき:充電されない場合の確認
画面の表示や設定で説明できず、そもそも充電されていないなら、充電の経路を確かめる。Appleの「充電されない場合」の案内は、手順を1つずつ試して、1つ終わるたびに問題が解決したか確認する形である。
- iPhoneを再起動する
- 充電ケーブルやUSBアダプタに、断線や端子が曲がっているなど、損傷の兆候が見られないか確認する。破損したアクセサリは使わない
Appleが勧めるアクセサリについては、Lightningコネクタアクセサリの案内に、MFiバッジが付いたApple認定のアクセサリに限り利用をお勧めする、とある(Apple「Lightningコネクタアクセサリの偽造品や模倣品を識別する」)。充電ケーブルや充電器を替えて試すときの参考になる。
Appleのページで修理サービスが案内されているのは、電源が入らない場合や充電されない場合である。「80%で止まる」「100%にならない」場合への案内ではない。この症状だけで修理に出すかどうかは、先にこの記事の仕様を確かめてからでよい。
充電マークが出ない、反応したりしなかったりする場合は、iPhoneが充電できない・充電マークがつかない原因で扱っている。
よくある質問
充電が80%で止まるのは、故障か
故障と決める必要はない。Appleは、80%で止まる原因として、バッテリー充電の最適化、熱、充電上限の3つを挙げている。ロック画面の通知や「充電保留中」の表示、「設定」>「バッテリー」の上限の設定を、先に確かめる。
充電を100%にするには、どうするか
最適化が働いているなら、ロック画面の通知を長押しして「今すぐ充電」をタップする。充電上限を設定しているiPhone 15以降のモデルなら、「設定」>「バッテリー」>「100%まで充電」をタップする。熱で保留されているなら、涼しい場所へ移す。
バッテリー充電の最適化は、オフにしてよいか
Appleは、オフにするとバッテリーが消耗しやすくなり、耐用年数が縮む可能性があると書いている。今日だけ100%にしたいなら、「今すぐ充電」のほうが影響が小さい。
充電上限を80%にしているのに、100%になった
故障ではない。Appleによると、バッテリー残量表示の正確さを維持するために、上限が低く設定されていても、iPhoneが100%まで充電されることがある。
「最大容量」が100%ではない。修理が必要か
最大容量が100%を若干下回るだけでは、必要とは言えない。Appleは、製造からアクティベーションまでの時間の長さによって、表示されるバッテリー容量が100%を若干下回ることがあるとしている。
まとめ
iPhoneの充電が100%にならないときは、何が100%にならないのかを分けてから、画面の表示を確かめる。80%で止まるなら、Appleが挙げる3つの仕様(バッテリー充電の最適化・熱・充電上限)に当たらないかを見る。
ロック画面の通知や「充電保留中」の表示が出ているなら、故障ではなく仕様で止まっている。 仕様で説明できず、充電されていないときに、再起動とケーブルの確認へ進む。



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