iPhoneを売る前にやることは、大きく分けて5つある。バックアップ、「探す」をオフにする、SIMの取り出し、サインアウトと初期化、付属品の確認だ。このうち1つでも抜けると、査定額が下がるか、最悪の場合は買取そのものを断られる。
筆者は買取店を経営していた立場で、準備が足りないまま持ち込まれた端末を数多く見てきた。多いのは「初期化はしたが『探す』が残っていた」というパターンで、これは店側では解除できない。ここでは、売却前に必要な準備を順番に整理する。
iPhoneを売る前にやることの全体像
先に一覧で示す。上から順に進めれば問題ない。
| 順番 | やること | 抜けたときに起きること |
|---|---|---|
| 1 | バックアップを取る | データが戻せなくなる |
| 2 | 「探す」をオフにする | 買取不可、または大幅減額 |
| 3 | SIMカードを抜く(eSIMは削除) | 通信契約や個人情報が残る |
| 4 | サインアウトして初期化する | 個人情報が残ったまま渡る |
| 5 | 付属品・箱を確認する | 減額の対象になることがある |
順番には意味がある。初期化を先にやってしまうと、バックアップの取り直しができない。必ずバックアップから始めて、初期化は最後にする。
なぜ売る前の準備が必要なのか
理由は3つある。1つ目はデータの保護で、初期化を忘れた端末がそのまま次の持ち主に渡るリスクを避けるためだ。2つ目は査定額で、準備の不備はそのまま減額の理由になる。3つ目は買取の可否そのもので、アクティベーションロックが残った端末は多くの店で買取を断られる。
お客様からは「店で消してくれないのか」と聞かれることがあるが、Apple IDのパスワードは店側では分からない。解除できるのは所有者本人だけだ。持ち込む前に済ませておく必要がある。
iPhoneを売る前の準備手順
1. バックアップを取る
iCloudかパソコンのどちらかで取る。iCloudなら「設定」→ 自分の名前 →「iCloud」→「iCloudバックアップ」から実行する。空き容量が足りない場合は、一時的に容量を追加するか、パソコンへのバックアップに切り替える。
新しい端末へそのまま移すなら、クイックスタートで直接移行する方法もある。いずれにせよ、移行が完了したことを新しい端末側で確認してから次に進んでほしい。
2. 「探す」をオフにする
売却準備でもっとも重要な工程だ。「設定」→ 自分の名前 →「探す」→「iPhoneを探す」をオフにし、Apple IDのパスワードを入力する。
これをオフにしないと、アクティベーションロックがかかったままになる。ロックが残った端末は、次の持ち主が初期設定を進められない。
「初期化したから大丈夫」は誤りだ。初期化と「探す」のオフは別の操作で、初期化だけではアクティベーションロックは解除されない。買取店で最も多く差し戻しになるのがこのケースになる。
3. SIMカードを抜く・eSIMを削除する
物理SIMはSIMピンでトレイを取り出して抜く。eSIMの場合は「設定」→「モバイル通信」から該当の回線を選び、削除を選ぶ。
ただし、回線を他の端末へ移す予定があるなら、移行の手続きを先に済ませてから削除してほしい。順番を逆にすると再発行の手間がかかる。
4. サインアウトして初期化する
「設定」→ 自分の名前 → 一番下の「サインアウト」でApple IDから抜け、そのうえで「設定」→「一般」→「転送またはiPhoneをリセット」→「すべてのコンテンツと設定を消去」を実行する。
初期化は、バックアップと「探す」のオフが両方とも終わってから実行する。電源が入らない、画面が割れて操作できないなど、そもそも初期化できない状態のときの扱いは壊れたiPhoneの捨て方6選|初期化できない時の処分方法も解説で詳しく扱っているので、そちらを参照してほしい。
5. 付属品と箱を確認する
箱、ケーブル、SIMピンが揃っていれば、買取店によっては加点の対象になる。ただし、箱がないことを理由にした減額の幅は店によって差が大きい。減額なしで扱う店もあるため、iPhone買取は箱なしOK|相場と減額ゼロ業者を元Apple製品買取店社長が解説で条件を確認してから持ち込むとよい。
査定額を落とさないためにやっておくこと
準備が終わったら、査定に影響する部分を整えておく。
- 画面と背面を拭く:指紋や皮脂は印象に影響する。研磨剤入りのクリーナーは傷の原因になるので使わない
- バッテリーの最大容量を確認する:「設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態と充電」で確認できる。80%を下回っていると減額の対象になる店が多い
- 画面割れは自分で直さない:非正規店での修理歴が減額につながる場合があり、修理代を回収できないことも多い
80%を下回っていた場合に交換してから売るべきかは、バッテリー80%以下のiPhone買取価格|交換してから売るべきかで判断基準を整理している。
売り時そのものを見直す価値もある。買取価格は新機種の発表前後で動くため、急ぎでないなら【2026年最新】iPhone買取価格推移グラフ|1万3千件超の実データで売り時と相場を解説で相場の動きを確認してから決めるとよい。
残債とネットワーク利用制限を確認する
分割払いが残っている端末は、支払いが止まると利用制限がかかる可能性がある。いわゆる赤ロムだ。残債がある状態でも買い取る店はあるが、減額幅や条件は店ごとに違う。詳しくは【ゲオのiPhone買取】残債ありの減額幅や高く売るコツを徹底解説にまとめている。
メルカリで売る場合の判断軸——ネットワーク利用制限の確認から商品説明の書き方、手数料を引いた実収益の計算まで——はメルカリでiPhoneを売る前に確認すること|出品前の3つの必須チェックにまとめた。
画面割れや電源が入らないなど、状態に問題がある端末をどこへ持ち込むかは壊れたiPhone買取おすすめ業者4選|元買取店社長が徹底解説【2026年】を参照してほしい。
売る前のチェックリスト
持ち込む直前に、次の6点を確認する。
- バックアップが完了し、新しい端末で中身を確認した
- 「iPhoneを探す」がオフになっている
- SIMを抜いた(eSIMは削除した、または移行を済ませた)
- Apple IDからサインアウトした
- 「すべてのコンテンツと設定を消去」を実行した
- 付属品を揃え、残債の有無を把握した
2番だけは、店側でも次の持ち主でも代われない。ここを最優先で確認してほしい。
よくある質問
初期化すれば「探す」もオフになるのか
ならない。この2つは別の操作だ。初期化は端末内のデータを消す操作で、「探す」のオフはApple IDと端末の紐付けを解除する操作になる。初期化だけを済ませた端末はアクティベーションロックが残るため、次の持ち主が初期設定を進められない。売却前は必ず両方を実行してほしい。
バックアップと初期化はどちらを先にやるべきか
バックアップが先だ。初期化を先に実行すると端末内のデータは消え、そこから取り直すことはできない。バックアップ、「探す」のオフ、初期化という順番を守れば問題は起きない。新しい端末へ直接移行する場合も、移行が終わったことを確認してから初期化に進んでほしい。
バッテリーの最大容量が80%を下回っていると売れないのか
売れないわけではない。多くの店で買取自体は可能で、影響するのは金額のほうだ。ただし減額の幅は店によって違い、容量を重視しない店もある。売る直前にバッテリー交換をして金額を上げようとすると、交換費用のほうが上回ることが多いため、そのまま査定に出すことをおすすめする。
箱や付属品がないと買い取ってもらえないのか
買い取ってもらえる。箱の有無は加点・減点の要素であって、買取の可否を決めるものではない。減額なしで扱う店もあるため、付属品が揃っていない場合は事前に条件を確認してから店を選ぶとよい。
SIMカードは抜かなくても店で抜いてくれるのか
店で抜くことはできるが、自分で抜いてから持ち込むほうが確実だ。SIMには契約情報が入っており、抜き忘れたまま買取が成立すると回収が難しくなる。eSIMは物理的に抜けないため、設定から削除する操作が必要になる。回線を他の端末で使う予定があるなら、移行を先に済ませてほしい。
まとめ
iPhoneを売る前にやることは、バックアップ、「探す」のオフ、SIMの取り出し、サインアウトと初期化、付属品の確認の5つだ。順番が重要で、バックアップから始めて初期化を最後に置く。
最も多いつまずきは「初期化しただけで『探す』が残っている」状態で、これは店側では解除できない。持ち込む前に、設定画面で「iPhoneを探す」がオフになっていることだけは必ず確認してほしい。



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